つる性植物でつくる生垣

「目隠しは欲しいけれど、ぶ厚い生垣を植えるほどのスペースはない」——そんなお庭にぴったりなのが、フェンスや支柱につる性植物を絡ませてつくるつる性の生垣(グリーンフェンス)です。薄く仕立てられて植物の選択肢も広く、花や果実まで楽しめます。このページでは、通常の生垣との違いから、支柱の選び方、おすすめの植物までをまとめてご紹介します。

つる性植物でつくった生垣(つるバラ)

1. 通常の生垣と、つる性の生垣の違い

一般的な生垣は、樹木そのものを密に植えて面をつくります。一方つる性の生垣は、支柱という骨組みに植物を這わせて面をつくるのが大きな違いです。この構造の違いから、次のようなメリット・デメリットが生まれます。

観点 つる性の生垣 通常の生垣
厚み(奥行) 薄く仕立てられる(数10cm〜) ある程度の幅が必要
使える植物 花木・果樹など選択肢が広いがる 刈り込みに耐える樹種が中心
支柱 恒久的な支柱・フェンスが必須 植付時のみ必要
目隠しになるまで 生長が早く比較的早い 年月がかかりやすい
管理 誘引・剪定が必要(伸びすぎ注意) 刈り込みが必要

まとめると、限られた幅で早く目隠しをつくり、花や実も楽しみたい方にはつる性の生垣が向いています。ただし「支柱が一生ものの骨組みになる」点だけは最初に押さえておきましょう。ここを丈夫に作っておくことが、長く美しく保ついちばんのコツです。

2. まず知っておきたい「つるのつき方」4タイプ

つる性植物は、何にどうやって体を支えるかで4タイプに分かれます。このタイプによって相性の良い支柱が変わるため、植物選びの前に押さえておくと失敗しません。

タイプ 支え方 代表的な植物 相性の良い支柱
巻きつき型 茎自体が支柱に 巻きつく フジ、ハゴロモジャスミン、アケビ ネット・ワイヤー・細い支柱
巻きひげ型 ひげ状の器官で 掴まる ブドウ、クレマチス、トケイソウ ネット・メッシュフェンス
もたれかかり型 トゲや枝を引っかけて寄りかかる つるバラ、モッコウバラ、ブラックベリー フェンス・ワイヤー(誘引必須)
吸着型 気根や吸盤で面に貼りつく ヘデラ(アイビー)、ナツヅタ 壁面向き(生垣には不向き)

注意したいのが吸着型です。ヘデラやナツヅタは壁やコンクリート面を覆うのは得意ですが、フェンスや支柱のような「面のない骨組み」には貼りつく相手がないため、生垣には向きません。壁面緑化なら主役級ですが、今回のつる性生垣では巻きつき型・巻きひげ型・もたれかかり型の3タイプから選ぶのが基本になります。

3. 支柱の形状別ガイド

つる性生垣の出来は、骨組みである支柱で決まります。ここでは代表的な4つの方式を、見た目と施工難易度の目安つきでご紹介します。

方式 見た目 施工難易度 相性の良い植物
既存フェンスを活用 ★★★(既存になじむ) 易(誘引のみ) つるバラ、モッコウバラ、クレマチス
メッシュフェンス ★★★(すっきり) 中(基礎が必要) 巻きひげ型全般、ブドウ、トケイソウ
園芸支柱+ネット ★★(簡易的) 易(DIY向き) 巻きつき型、軽量な植物全般
小径単管+ワイヤー(自作) ★★★★(本格的) 難(重量・強度設計) フジ、ブドウなど重量級

既存フェンスを活用する

すでにあるブロック塀の笠木や境界フェンスを骨組みとして使う、いちばん手軽な方法です。新たな基礎工事が要らず、誘引するだけで始められます。つるバラやモッコウバラのように「引っかけて寄りかかる」植物と好相性。フェンスの強度と、隣地へのはみ出しにだけ注意しましょう。

メッシュフェンス

格子状の既製フェンスを新設する方法です。見た目がすっきりしていて、巻きひげ型の植物が自分で掴まってくれるので誘引の手間が少なめ。支柱の基礎(独立基礎やブロック)が必要になるため、まっすぐ・水平に立てるところがポイントになります。

園芸支柱+ネット

イボ支柱やトンネル支柱に園芸ネットを張る、もっとも手軽なDIY方式です。コストが低く、夏のグリーンカーテンや軽量なつる植物に向きます。ただし強度は控えめなので、重くなる木本性のつる植物には不向きです。シーズンごとに張り替える前提で考えると気楽に楽しめます。

小径単管+ワイヤー(自作)

単管パイプを柱にし、ステンレスワイヤーを水平に渡して面をつくる本格派。見た目も耐久性も最上級で、フジやブドウのような重量級にも耐えます。一方で、基礎の埋め込みや強度・張力の設計が必要で、施工難易度は高めです。「ここは長く・重く育てたい」という本命の生垣には、プロにご相談いただくのが安心な範囲です。

DIYとプロの線引きの目安:誘引・ネット張り・軽い園芸支柱まではご自身で十分楽しめます。基礎を伴うフェンス新設や、単管+ワイヤーの本格的な骨組み、重量級の植物を支える設計は、安全性に関わるためプロにお任せいただくのがおすすめです。

あると便利な既製トレリス・アーチ

ゼロから支柱を組むのが難しい場合は、据え置くだけの既製トレリスやアーチも手軽でおすすめです。つる性植物の誘引にそのまま使え、置き場所を選びません。

4. おすすめの植物(生垣向き・木本&多年草)

ここからは生垣として恒久的に楽しめる、木本性・多年草のつる植物をご紹介します。各品種にひとこと注意点も添えていますので、ご自宅の環境に合わせてお選びください。

レンガ塀に誘引したつるバラ メッシュフェンスに絡ませたフジ

花木のつる植物

フジ(巻きつき型)……春に見事な花房を垂らす日本の代表的なつる植物。生長が早く重くなるため、単管+ワイヤーなど頑丈な骨組みが必須です。注意:かなりの重量と勢いになるので強度設計を。
▶ 適した支柱:小径単管+ワイヤー(重量に耐える本格的な骨組み)


 

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クレマチス(巻きひげ型)……「つる性植物の女王」。品種が非常に豊富で、花期や花色を選べます。メッシュやネットに自分で絡みます。注意:品種で剪定の仕方(旧枝咲き・新枝咲き)が異なります。
▶ 適した支柱:メッシュフェンス/園芸ネット(自分で掴まる)

モッコウバラ・つるバラ(もたれかかり型)……春に株を覆うほど咲く人気者。モッコウバラはトゲがほとんどなく扱いやすいのが魅力。枝を誘引して結束する手間はかかります。注意:自分では絡まないので、こまめな誘引が必要。
▶ 適した支柱:既存フェンス/ワイヤー(枝を留めて誘引・結束)

ハゴロモジャスミン(巻きつき型)……早春に白〜ピンクの花を咲かせ、強い甘い香りが楽しめる常緑〜半常緑。茎が自分で巻きつくので扱いやすく、フェンスの目隠しと香りを両立できます。注意:寒冷地ではやや傷みやすいので軒下や日だまりに。
▶ 適した支柱:園芸ネット/メッシュフェンス/細い支柱(自分で巻きつく)

カロライナジャスミン(巻きつき型)……常緑で、早春に明るい黄色の花をたくさん咲かせます。茎が自分で巻きつき、丈夫で目隠しにも向く優等生。注意:全草に毒があるため、ハーブ等と混同しないよう、口に入れない掲示や配置への配慮を。
▶ 適した支柱:メッシュフェンス/園芸ネット(自分で巻きつく)

ワイヤー仕立てのブドウの生垣

果樹のつる植物(食べても楽しめる生垣)

ブドウ(巻きひげ型)……メッシュやワイヤーに自分で掴まり、夏は涼しい日陰、秋は実りが楽しめます。棚仕立ても生垣仕立ても可能。注意:病気予防の管理と、しっかりした支柱が必要。
▶ 適した支柱:メッシュフェンス/単管+ワイヤー(重量に耐える骨組み)

ブラックベリー等のつる性ベリー(もたれかかり型)……強健で実つきが良く、初心者にも育てやすいベリー。ワイヤーに枝を留めて面をつくります。注意:トゲのある品種もあるので、通路際はトゲなし品種が安心。
▶ 適した支柱:既存フェンス/ワイヤー(枝を留めて誘引・結束)

アケビ・ムベ(巻きつき型)……和の趣のあるつる植物で秋に実がなります。ムベは半常緑で目隠しにも使えるのが利点。注意:アケビは結実に2品種あると安心な場合があります。
▶ 適した支柱:園芸ネット/メッシュフェンス/ワイヤー(自分で巻きつく)

キウイ(巻きつき型)……生長旺盛でよく茂り、目隠し効果は抜群。注意:雌雄異株のため、実を採るには雄株・雌株の2本が必要です。
▶ 適した支柱:単管+ワイヤー(旺盛で重くなるため頑丈な棚・骨組み)

5.〔番外〕夏だけ楽しむグリーンカーテン(一年草)

恒久的な生垣とは別に、「夏のあいだだけ手軽に緑の目隠しが欲しい」という方には、一年草でつくるグリーンカーテンがおすすめです。園芸支柱+ネットの簡易な骨組みで十分楽しめ、シーズン終わりに片付ければOK。手軽さが魅力です。

代表格はアサガオ(毎朝の花が涼しげ)とゴーヤ(実も収穫できる)。ほかにフウセンカズラ(かわいい風船状の実)、つるありインゲン(収穫が楽しい)、ヒョウタンなども人気です。涼を取りながら緑を楽しみたい夏に、気軽に取り入れてみてください。

まとめ

つる性の生垣は、限られたスペースで早く目隠しをつくれて、花や果実まで楽しめる魅力的な選択肢です。成功のカギは、つるのつき方に合った支柱を、丈夫に作っておくこと。誘引や簡易なネット張りはご自身で、基礎を伴う本格的な骨組みや重量級の植物はプロにお任せいただくと安心です。

「うちの境界フェンスでもできる?」「どの植物が合う?」など、現地の状況に合わせたご相談も承っています。神奈川県湘南地区で、つる性生垣の設計・施工はガーデンサービス舟橋へお気軽にどうぞ。

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